選ぶ余裕なんてないのかな

 公認会計士として登録するためには、公認会計士試験に合格するだけではダメだ。補修所に3年通って終了考査にパスする、2年間の実務経験を積むということが更に必要。

 この実務経験を積むというのが意外にやっかいである。ほぼ監査法人に就職する以外に実務として認められないといっても過言ではない。「一般企業でもOKだぜ」とアピールされてはいるものの、一般企業でも大会社でかつ経理とか財務に関する仕事をしないと認められない。では大会社でそういう仕事があるのかというと、単なる公認会計士試験合格者というだけでは難しいだろう。

 経理は直接金を生む仕事ではない。だから基本的に実務を知らない人間をほいっと雇って1から育てるなんてことは一般企業では難しいはず。

 さらに一般企業であれば補修所に通うという要件が今度は負担になる。Webとかで受講できるようではあるが、1コマ受けるのに3000円かかるみたいである。時間も資金的援助もあまり望めない一般企業では、例え実務に就けたとしても補修所要件が更に難関としてそびえ立つわけだ。

 だからみんな監査法人を望むわけだが、そもそも既に合格者が多すぎて吸収し切れていない。このような状況では、監査法人を選り好みできる余裕などないのかもしれない。

 元より大手じゃなきゃやだとかいうこだわりはないので、中小も積極的に応募してみてはいる。場所も大阪がいいなぁとか思ってたのだが、限定する余裕すらないのかもしれない。

 しかしどこでもいいのか、入れればそれでいいのかというと、それは違うと思う。入ってみて「やっぱこの法人合わん」とかいって別のところへ行くなんて行動は取ることはできない。少なくとも公認会計士として登録する3年間はそこに勤めることになるわけだから。

 だから自分の納得の行くところに行きたい。どこでもいいわけじゃない。

 でも、それはエゴなのかもしれないと同時に思う。選り好みできるような状況ではないのだから。

 しかし一方で、公認会計士試験に合格したのだから、会計士の卵として誇りを持って働きたいという気持ちもある。

 それは我侭なのかプライドなのか。選ぶ余裕すらないのは分かるけれども、内定もらえさえすればいいなんていう姿勢では、この先の会計士としての人生、最初から躓くことになりはしないだろうか。

 なんていうのは、求人のある監査法人全てに応募していないことへの言い訳でしかないのだろうか。自分でもよく分からない。