資産除去債務

 試験問題だとどう計算しますかって言うだけの話で、特段ややこしいとは思わない論点であったが、現実問題ではそう簡単にいくわけがない。

 まず試験では与えられる将来の除去費用の見積もりが困難だ。今現在除去しようとしたらいくらかかるかを考えて見積もらざるを得ないだろう。それだって不確定要素が数多絡んでくるので、その数値はきわめて不正確といわざるを得ない。果たしてそのような数字に何の意味があるのだろうか。

 更に除去費用が発生するのが何年先かわからない。耐用年数を超えて使用する固定資産などごまんと存在するだろう。将来の負担を現在価値として表すために割引計算を行うが、その年数が不正確だ。

 そしてその割引計算に用いる割引率もきわめて不正確なものだ。特に現在のような経済情勢が不安定なときに、一定の金利で割引を行うことに意味があるのだろうか。

 三重の意味で不正確な資産除去債務であるが、そこまでして開示を行う必要性があるのだろうか。それを問われた際に、自分は専門家としてどのような返答をするのだろうか。