財務会計士ねぇ……

 公認会計士の試験制度がまた変わるらしい。公認会計士になる前の段階に、新たな「財務会計士」なる資格を設けるとのこと。

 現在公認会計士になるためには、公認会計士の試験に合格(短答式+論文式)、3年の実務経験(+実務補修)、終了考査の合格を経てようやく公認会計士となれる。私が今いるのは一番最初の試験のところである。試験に受かったところでまだ先は長い。実務経験が試験合格より先であってもいいのだが、現状では非現実的である。

 試験に合格できていない者が、実務経験を得るために監査法人等に就職できるような甘い環境ではないのだ。というより試験に合格できたところで就職できない可能性が高いと言える。そこで議論されていたのが試験制度の改正であり、出てきた解が財務会計士なる新資格の創設だ。

 個人的にこの財務会計士の資格は需要のある資格だとはとても思えない。一般企業に就職しやすいようにという意図で創設するらしいが、そもそも一般企業が経理に金をかけるわけがない。なぜなら経理は金を生まないからだ。大企業は既にちゃんと経理部門を持っているはずなので、わざわざ財務会計士の資格を持っている者を新たに雇う必要性はないだろう。むしろ、既にいる経理の人間に財務会計士の資格を取るよう指導する程度だろう。だから就職浪人解消には何の寄与もないと思う。

 むしろこの資格の創設は、一般企業に勤めながら公認会計士になるためのステップを踏むという道を作るものである。要するに今現在、受験専念している人にとっては誰得制度と言えるものだ。むしろ合格者を抑制するという話が出ているため、受験専念な自分にとっては俺損な制度である。

 試験合格者の数を絞ったところで根本的な問題は解決しないと思うのだがどうなのだろうか。今現在就職浪人している過年度合格者はどうするのだ。資格の新設をしたとしても、その先には「財務会計士の試験に合格したけど就職先がないぜ!」という人が続出する未来が見えているのだが。